日本産ステゴドン,アケボノゾウとシンシュウゾウ(長鼻目,哺乳綱)の下顎骨の形態
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概要
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日本産のステゴドン属であるアケボノゾウとシンシュウゾウの下顎骨の特徴を検討した.また6種のステゴドン属と5種のゾウ亜科についても比較検討した.比較のための形質には,主に下顎結合の正中断面と下顎体の横断面を用いた.ゾウ亜科との比較から得られたステゴドン属の下顎骨の特徴は次の通りである.1)ステゴドン属の下顎体の横断面はゾウ亜科よりもほっそりしていて,下顎体の外側面は膨らまない.2)下顎体の内腹側に溝がみられる.3)下顎結合の正中断面は種によって変異があり,その多くは前後に長い.4)下顎角は膨らまない.5)M2段階以前では先行歯と後継歯が同じ面に位置する.これらの特徴は,ステゴドン属の下顎骨が長いことと関係する.一方,アケボノゾウの下顎骨の特徴として以下の点が挙げられる.1)前縁が立つ.2)下顎結合の正中断面はステゴドン属の他の種よりも前後に短い.3)M1段階の標本では後継歯が先行歯の後下方に位置する.4)第3大臼歯の舌側への湾曲は強い.これらは,アケボノゾウでゾウ亜科にみられたような下顎骨の前後短縮がすすんでいることを示す.また,シンシュウゾウはツダンスキーゾウに比べて下顎骨の前後短縮が進んでいる.このことから,両者は別種であると考えられる.
- 1999-01-25
著者
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高橋 啓一
京都支部:滋賀県立琵琶湖博物館
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高橋 啓一
日本歯科大学新潟歯学部 歯
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高橋 啓一
京都大学・理
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小西 省吾
みなくち子どもの森自然館
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小西 省吾
Department Of Geosciences Graduate School Of Science Osaka City University
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高橋 啓一
Catchment Area Research Section, Lake Biwa Museum
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高橋 啓一
Catchment Area Research Section Lake Biwa Museum
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