オホーツク海沿岸地域における第三紀貝類化石群の古環境特性(<特集>北西大平洋縁辺地域の新生界)

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北海道,オホーツク海沿岸地域の第三紀貝類化石群は,年代層序学的・古生物学的データに基づいて,下位から達媚・津別動物群,滝の上動物群,下部峠下動物群,上部峠下動物群及び滝川・本別動物群の5群集に区分できる.達媚・津別動物群(I期:30-20Ma)は,寒冷要素で代表され,温暖種を欠く.本動物群は温帯に生息していたと推定され,いわゆるAcilana tokunagai動物群に属する.滝の上動物群(II期:16.5-15Ma)は,温暖種と寒冷種の共産で特徴づけられるが,亜熱帯種を欠如する.この動物群は,同時代の築別動物群とともに温帯性の動物群と解釈できる.これらの動物群は,本州の門の沢動物群に対比され,汎世界的な熱帯海中気候事件に相当する.下部峠下動物群(III期:14-10Ma)は,主に寒冷種で特徴づけられ,中間〜冷温帯に生息してと考えられる.深海性要素を含む上部峠下動物群(IV期:10-6Ma)は,中間温帯性と推定される.これらは,本州の塩原・耶麻動物群に対比される.滝川・本別動物群(V期:6-2Ma)は,示準化石タカハシホタテで特徴づけられ,寒冷種の卓越から冷温帯に生息していたと思われる.このような貝類化石の群集変遷は,第三紀を通して,北海道のオホーツク海沿岸地域で起ったグローバルあるいはローカルな環境変化によって支配されているのであろう.
2003-11-25

オホーツク海沿岸地域における第三紀貝類化石群の古環境特性(<特集>北西大平洋縁辺地域の新生界)

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