読解におけるリコールテスト方略 : 自由記述分析におけるメモ方略を中心にして
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概要
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本稿は,平野・酒井(2004)の継続研究である。平野・酒井(2004)では,ケンブリッジ英検であるFCEとshort-answer形式で測定した2つの合計得点による読解力でもって上位群と下位群に分類して100名による自由記述を分析したが,本研究では,平野・酒井(2004)の自由記述分析結果を用いてリコールテストで測定した読解力に基づいて上位群・下位群に再度分類し,2群間にメモ方略の使用の種類(タイプ)と使用頻度の違いがあるかどうかを調べた。その結果,リコール得点の違いは,使用された方略の種類の数には影響を与えなかったが,あるタイプのメモ方略の使用頻度に影響を与えた。そのメモ方略は,項目17「文章構成の目印となる語句(例えば,対比となる語,接続詞,連結語[例,first of all, however, for example, thereforeなど])に下線や印をつけた」だけであった。リコールテスト得点の上位群が下位群より有意に多く,文章構成の日印となる語句に下線や印をつけていることがわかった。読解力の指導への示唆として,リコールテスト形式の場合,このタイプのメモ方略を奨励することが考えられるが,読解力の向上を有意にもたらすかどうかは,今後の研究課題である。
- 2006-03-20
著者
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