誘導結合プラズマイオントラップ質量分析計を用いる生体試料中の鉄,銅,亜鉛,セレン及びヒ素の定量

概要

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イオントラップ型質量分析計を採用している誘導結合プラズマ三次元四重極質量分析計を用いて,生体試料中のFe,Cu,Zn,As及びSeのうち存在量の最も大きい同位体に関するスペクトル干渉を低減し,生体試料中のFe,Cu,Zn,As及びSeの定量を行った.三次元四重極質量分析計(3DQMS)の装置条件とFNF(filtered noise field)を最適化することで,解離エネルギーが低い^<56>Fe^+に対する^<40>Ar^<16>O^+,^<63>Cu^+に対する^<40>Ar^<23>Na^+,^<75>As^+に対する^<40>Ar^<35>Cl^+及び^<80>Se^+に対する^<40>Ar_2^+のスペクトル干渉は低減できた.また,解離エネルギーが比較的高い^<56>Fe^+に対する^<40>Ca^<16>O^+,^<64>Zn^+に対する^<32>S_2^+及び^<80>Se^+に対する^<79>Br^1H^+のスペクトル干渉はFNFに加えCID(collision induced dissociation)機能を最適化することで,低減できた.CIDの最適条件はそれぞれ0V,500msであった.装置条件,FNF及びCIDの最適条件の下で,生体標準物質中のFe,Cu,Zn,As及びSeの定量を行った結果,誤差範囲内で保証値と一致した.また,実試料としてヒト血清を定量した.
社団法人日本分析化学会の論文
2006-08-05