医療の変化と医療保険の将来
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概要
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日本国内で販売されている「医療保険」は,医療を受けるための保険ではなく入院日数あたりの日額を給付する「入院期間中の所得保障保険」にほかならない。これまで日本では公的な医療保険制度がカバーする範囲が十分であったために民間の医療保険市場はこういう形でしか存在し得なかった。しかし,高齢化や医療の変化,国の医療政策の変化はこの既存の「医療保険」に新しいリスクを投げかけている。高齢者の増加は被保険者集団の高齢化にほかならず,入院や手術の発生は高齢化の進展とともに急増している。また医療の変化,特に内視鏡手術の普及は当初の予測を超えた手術給付につながっている。また,高度先進医療が短い入院日数で施されるようになったため,消費者からは実際にかかった医療費と保険給付金のアンバランスを指摘されるようになった。一方,公的医療保障制度の縮小にともない今後わが国でも民間保険会社が医療制度の一部を担う真の意味の「医療保険」市場が出現することが予想される。これらの変化は根源的には先進諸国,とりわけわが国の少子・高齢化による人口構成の変化,人口減少社会の到来に由来するものであり,その本質的影響はひとり医療保険だけの問題ではない。人口減少という生命保険事業はじまって以来初めての事態にどう対応していくべきかがまさにいま問われている。
- 2006-09-17
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