福岡県内における飛び込み分娩の実態

概要

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福岡県内における飛び込み分娩の実態と問題点を明らかにすることを目的として,福岡県内の113の産科関連施設に対して,郵送による無記名式質問紙調査を行った。調査内容は,平成14年の飛び込み分娩の実態(分娩数,分娩および新生児の状況など),生活背景,飛び込み分娩の理由である。66施設(回収率58.4%)から回答を得た。分娩を取り扱っていたのは60施設で,そのうち17施設(28.3%)から68例の飛び込み分娩の報告があった。飛び込み分娩者の平均年齢は28.1±7.5歳で,経産婦が41人(60.3%),母子健康手帳の未受領が58人(85.3%)あった。産科的観点からは,未介助分娩(自宅および車中での分娩),分娩第2期以降の入院,母体感染症,弛緩出血,早産児,低出生体重児などの問題がみられた。社会経済的問題として,配偶者(パートナー)なし,住所不定,健康保険未加入,入院用品準備なし,母親による養育困難,医療費未払い問題などが明らかになった。飛び込み分娩は産科的リスクだけでなく,社会経済的リスクが大きく,保健・医療・福祉など行政機関との連携による対策を講じる必要性が示唆された。
日本母性衛生学会の論文