汚染物質付着繊維に生育する糸状菌とその繊維の損傷への影響

概要

論文の詳細を見る
日常,繊維製品を汚染する物質として,日本酒,ワイン,ビール,牛乳,オレンジ果汁飲料,コーラ,緑茶,紅茶,コーヒー,しょう油,ソース,みそ汁,食用油および海水の14種を選び,これらを綿,毛,絹,ナイロン,ポリエステルおよびアクリルの6種の市販糸に付着させて,28℃の湿室中に1〜7週間保ったときの糸状菌の発生状況ならびに繊維の損傷への影響について検討した。その結果は次のようである。(1)糸状菌の生育が顕著であったのは,牛乳,ビールおよび日本酒による汚染糸で,一方,生育がほとんど認められなかったのは,海水,食用油およびコーラによる汚染糸であった。(2)生育した菌種には,Aspergillus nigerをはじめ,Penicillium sp., Aspergillus sp., Rhizopus sp., Trichoderma sp.および数種の末同定菌が観察された。(3)糸状菌による繊維の劣化が顕著なものは,牛乳汚染による毛および綿繊維で,次いで,ワイン,ビールおよび緑茶により汚染した毛繊維であった。一方,劣化が極めて小さい汚染物質はコーラ,オレンジ果汁飲料,海水,食用油,紅茶およびみそ汁であった。(4)糸状菌による合成繊維の劣化への影響は糸状菌の生育の程度に関係なく,極めて低かった。(5)糸状菌による着色汚染は,いずれの繊維にも認められたが,特にAspergillus nigerによる黒色,Penicillium sp.による黄色系統の着色がポリエステルを除いた各試料糸に強くみられた。
島根県立大学短期大学部の論文
1982-03-31

汚染物質付着繊維に生育する糸状菌とその繊維の損傷への影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク