カワヒバリガイの垂直面登はん行動と干出に対する耐性
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概要
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淡水に生息するイガイ科の二枚貝であるカワヒバリガイの行動と干出に対する耐性を, 室内実験によって調べた。光のない条件で, 水を入れた円筒形の容器の底にこの貝を置いておくと, 容器の垂直面を登って, 足糸で垂直面に付着する行動を示す。殻長4-35 mmの200個体について調べたところ, 殻長5-10 mmの小型個体では50%以上が23時間以内にこの登はん行動を行ったが, サイズが大きくなるにつれてその割合は減少した。全体では約30%にあたる個体がこの行動を示した。登はん行動を示した個体の約40%は水面直下(高さ10 cm)にまで登ってそこに付着し続けた。その後, 容器の中の水を捨てて温度26-30度・湿度72-81%の元で干出させると, 底面に戻った個体はわずか12.5%に過ぎず, 残りの個体は干出した状態でも垂直面に固着し続け, 10日後にその生死を調べると, 全ての個体が死亡していた。登はん行動を示さなかった個体を空のシャレーに入れて同様の温・湿度条件の元で干出させておくと, 5-10 mmの個体の平均生存日数は3.1日で, 5日後には全て死亡していたが, サイズの増加とともにその平均生存日数も増加した。しかし, 10日後には全ての個体が死亡した。この登はん行動の適応的な意義を, 生息場所の条件や干出に対する耐性とからめて議論した。
- 1997-04-30
著者
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