イヌ下顎骨歯槽頂部におけるオステオンの立体的形態

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イヌ下顎骨舌側歯槽頂部のオステオンの立体的な形態を,パーソナルコンピュータ使用の装置により,40μm間隔の断面形態図40枚から立体像を描画させることで観察した。オステオンの大部分は近遠心方向に走行し,1個のオステオンの長さは460μm前後で,これらが互いに分岐・ゆ合をくり返しながら連続していた。また槽間中隔部では頬舌方向に,歯根周囲では歯頸・根尖方向に走行するものも認められた。骨髄や歯根膜とはフォルクマン管とそれに続く小さなオステオンによって交通しており,この開口部はかなり多く認められた。一般にオステオンの走行は力の方向に一致するとされており,歯槽頂部のオステオンの走行は歯牙の支持よりも下顎骨の屈曲に対応しているようにうかがえた。ごく少数のオステオンは槽間中隔での頬舌方向,歯根周囲での歯頸・根尖方向と力の方向に走行していた。このことが直接歯槽頂部に加わる咬合圧の分力の大きさと方向を反映しているのか,あるいは他の要因,血管系や発生学的なものによるのかは明らかではない。しかし歯牙の支持構造として歯槽頂皮質骨は歯牙の移動方向を制限し,根尖周囲の海綿骨が力を吸収,顎骨のしなりを歯槽頂部を含めて皮質骨が支持する構造が考えられる
特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
1984-09-28

イヌ下顎骨歯槽頂部におけるオステオンの立体的形態

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