千葉県館山市加賀名付近の地質構造と地下水について
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概要
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房総南部には鴨川地溝帯,北条地溝帯(館山と千倉間)など断層による凹地形が発達している。館山市,加賀名部落付近は三方が断層によって囲まれた盆地状の地形をなしている,地上調査とともに電気探査法によって地質構造と地下水の賦存状態を研究した結果について報告する。1.地層の分布と地質構造 西岬累層(中新世)-主にシルトからなり本地域の周辺に分布し,丘陵地をなしている。背斜軸は北西から南東の方向にはしっている。鏡ヶ浦層(鮮新世)-おもに凝灰質粗粒砂岩からなり,平野部に分布している。一般的な走向,傾斜はNW-SE,20〜30°NEの単斜構造をなしている。地層の垂直の厚さは北部および東部で50m以上になっている。沖積層-おもに中粒から粗粒の未固結の砂からなり,平野部に広がっている。平野部を流れる2本の河の周辺で数メートル以上の厚さになっている。2.比抵抗値からみた各層の特徴 西岬累層-30(Ω-m)以下の非常に低い値でシルト質の岩相を示している。鏡ヶ浦層-30から185(Ω-m)で,本地域の鐘ヶ浦層の分布している地域の西端で低い値を示す。沖積層-16〜500(Ω-m)で,平野部の中央及び海岸地域で比較的高い値を示す。3.地下水の賦存状態 西岬累層-主に固結したシルトから成る不透水層で,本地域での水理地質学的基盤岩となっている。鏡ヶ浦層-主にやや固結した凝灰質粗粒砂岩から成る透水層で,採水可能の水を多くもっている。本地域内の深井戸はこの水を利用している。平野部の北及び東側でより多く採水できる可能性が大きい。沖積層-主に未固結の砂からなる透水層で自由地下水を含む。本地域内の浅井戸はほとんどこの水を利用している。平野部を流れる2本の川の周辺に多く自由地下水が含まれる可能性が大きい。
- 1973-08-31
著者
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山崎 良雄
千葉大学
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千坂 武志
Geological Institute, The Faculty of Education, Chiba University.
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山崎 良雄
Geological and Mineralogical Institute. Faculty of Science, Tohyo University of Education.
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