精神薄弱児の弁別任意移行における言語反応の効果
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概要
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本研究では,正常児(CA3〜10歳,245名)と精薄児(MA5〜11歳,178名)を対象に,弁別任意移行に及ぼす言語反応訓練の効果に関して発達的に比較検討した。得られた主な結果は以下の通りである。1.知覚的移行優勢から概念的移行優勢に転じる過渡的年齢段階は,統制群では正常児CA5〜6歳,精薄児MA7〜8歳であり,言語反応群では正常児CA3歳,精薄児MA7歳程度である。2.知覚的移行を先行弁別の適切刺激に対する反応と不適切刺激に対する反応とに分けると,統制群では前者の反応が低年齢段階に比べ高年齢段階において多い傾向にある。他方,言語反応群では年齢段階の違いによる差異はみられず,一貫して前者の反応が多い傾向にある。3.概念的移行の中での言語化の成績及び移行の内容を3つのカテゴリーに分けた場合の概念的言語媒介移行に注目すると,これらの割合が統制群に比べ言語反応群において著しく多いのは,正常児CA5〜7歳,精薄児MA5・6〜8歳である。但し,正常児はCA4〜5歳にかけての増加が著しく,精薄児はMA5歳以後漸進的に増加する。以上のことから,言語反応訓練は正常児と精薄児の概念的移行,特に概念的言語媒介移行を増加すること,またその効果の程度において両者は異なることを示唆し,これらの点について考察した。
- 千葉大学の論文
- 1978-12-20
著者
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