言述(ディスクルス)的思考とその合理性の問題(2) : K.バルトのCRおよびCDからKDへの転回を「言述(ディスクルス)的合理化(ラチオナリジールンク)」と解釈する試み
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概要
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1. 本誌先号において、ユダヤ・キリスト教思想における思惟が「言述的合理化」という特質を持つことを指摘した。これに基づいて、K.バルトのいわゆる「弁証法からアナロギアへ」の転回、CR→CD→KDへの転回の内実を見るための方法概念として「言述的合理化」を採用した。2.従来の「弁証法からアナロギアへ」と言う解釈では、アナロギアの方法で展開されたKDの思惟に含まれる弁証法的側面が充分に捉えることはできないと思われる。また、KDにおけるアナロギアしイに含まれる「弁証法」的側面は、KDいぜんにおける「弁証法」とは区別される。3.M.ルターの命題「すべての言葉はキリストにおいて、たとえそれらの言葉が同じ意味を指示しているにしても、新しい意味を獲得する」(Omniという限定辞が一般的(言述)デゥスクルスの意味論的地平を、存在論的に上昇させる点にある。同時に、その地平は、「言述的合理化」の地平と対応する。4.KDにおけるアナロギア的思惟は、三位一体論が、人間学的・倫理的側面を徹底的に規制するという点に特質があるが拙論では、この三位一体論による人間学的・倫理的側面の規制を「言述的合理化」と捉えた。この「言述的合理化」(の合理主義)は、神秘主義・弁証法的思惟への批判、無(das Nichts)の問題をテーマ化できること、さらに、改革者の政治神学の二元論、ドイツ啓蒙主義における信仰論、キリスト教的実存主義等々に対する批判を結果させた。5.バルトの思考の特質は、中世におけるラチオ概念(アンセルムス)を、人間学・倫理学の次元を一貫して規制する(ラチオナリジーレン)ものとしている点で、そのラチオ中心主義・ラチオナリスムスにあると判断できる。三位一体論がキリスト論・人間学的地平を規制するのもこのラチオナリスムスに起因する。
- 2004-12-25
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