手賀沼集水域の土地利用と水質の相互関係について
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概要
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本研究は,手賀沼集水域を対象に,集水域内における土地利用形態と河川水質の相互関係に関する知見を得ることを目的として行なわれたものである.本研究により得られた結果を要約すると次のとおりである.1)対象となる4つの集水域はその土地利用及び社会的状況の特性から見て,農村地域型,都市地域型,中間型の3つのタイプに区分できる.2)区分された集水域タイプは水質項目間の相関分析による各河川水質の特徴とよく一致する.すなわち,都市化の度合によって水質は特徴的に変わり,その水質項目間の相関関係の経年変化にも差が認められた.なお,対象集水域において,水質と最も関係するのは都市的土地利用であることが判った.3)土地利用面積率と水質濃度の間には人口密度及び市街地面積率がBOD,COD,ABSと正の相関を示し,樹林地,農地等がこれらの項目と負の種関をもつ.特に,水田はBOD及びCOD,畑はPO_4-P及び全リンの濃度と強い負の相関をもち,水質を改善する作用を示す.4)特に水質と強い相関を示した市街地面積率,水田率,緑被地率の水質環境基準BOD10ppmに対応する面積率を求め,市街地面積率25%,水田率10%,緑被地率70%の数値を得た.以上の結果は極く限られた地域での分析結果であって,一般性を持たせるまでは至っていない.しかし,水質と土地利用の関係を適確に把握していく為にはこのような特定地域ごとの研究結果の比較検討が重要であること,また,この種の研究が少ない点を考えると今後の比較検討の為の地域別事例研究が必要とされよう.
- 千葉大学の論文
- 1986-10-30
著者
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