市民農園の利用が余暇生活におよぼす影響に関する調査研究
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概要
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終りに本論の結語についてまとめると,次のようなことがいえる.<農園利用者の社会的属性>としては,戦後移住してきた一戸建て居住者が多く,農耕経験の無い者が過半を占めている.男性はサラリーマン層を中心に自家営業や高齢無職者によって占められ,女性は専業主婦(高齢の無職者も含む)を中心にサラリーマンや自家営業によって占められている.<農園の利用状況>は,季節によって変動し,春から夏,秋をへて冬へと消極化してゆく.また性別によって利用状況に差異がみられ,週当りの利用回数は男性より女性が高く,1回当りの利用時間は男性の方が女性より長い.これは性差によるよりも,男性と女性では,農園利用者の社会的属性が異なることに起因するものと推測される.農園利用による<余暇生活の変化状況>については,余暇活動を積極型と消極型に分類した場合において,消極型の余暇活動を著しく減少させること,さらにその分だけ積極型の余暇活動が活発になることが明らかになった.特に,このことはギャンブル型の余暇活動について顕著にみられ,市民農園利用によって,利用者の余暇生活は好ましい方向に変化しているといえる.<余暇生活の変化からみた階層分析>については,まず農園の利用によって余暇生活に変化の無かった人の特徴として,農園の近所に住みながらも利用頻度が低い人々,つまり消極的に利用している人々であることがいえる.一方,変化の認められる人の特徴としては,家が農園から離れていながらも,休日が多く,農園を積極的に利用している傾向がみられる.また両者では,農園利用による成果(利点)についても意識の差がみられた.
- 千葉大学の論文
- 1986-03-30
著者
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中村 攻
都市及び地方計画学研究室
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中村 攻
千葉大学大学院園芸学研究科
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山本 康
都市及び地方計画学研究室
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宮崎 元夫
都市及び地方計画学研究室
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姜 守範
都市及び地方計画学研究室
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姜 守範
計画行政研究所
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宮崎 元夫
千葉大学園芸学部
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