特産地農業に関する研究 : III.東金市トマト産地の実態分析
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概要
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第1報(千葉大学園芸学部学術報告第8号)の総論に対応する各論の展開をはかるため,東金市トマト主産地を対象に,トマト導入の動機および発達に関与した要因,産地の農業経営,産地の維持管理について分析を試みた.その結果を要約すれば次のとおりである.1.トマト導入の要因トマト産地の端緒をなした要因には,経営的因子および自然的因子,社会的因子などがあげられ,これら諸因子の総合作用の結果と判断される.2.産地発達に関与した要因これには,社会的因子および人的因子,政策的因子などがあげられる.とくに,生産組合(社会的因子)と特定人物の活動(人的因子)が大きな役割を果している.3.産地農家の農業経営1)産地の経営類型は,稲作+トマトの複合経営が支配的であり,専業農家によって営まれている.2)トマトの生産は,農家の経営収益増加に大きく貢献しているが,その生産性および経済性には顕著な個人差がみられる.3)ビニールハウストマトの規模は,500〜660m^2の範囲に分布し,大規模経営はみられない.しかし,農家は規模拡大を考えている.4)土壌改良的管理はよく実施されている.5)トマトの販売は,共同選果,農協系統機関経由の共同出荷体制をとっているが,必ずしも全域統一化をみていない.4.産地の維持管理について産地の維持管理をはかるためには,次の諸点があげられる.1)指導および行政機関が緊密な連〓を保ち,統一的見解にもとづく適切な指導,助成が必要である.2)とくに,本産地では農協活動の強化がのぞまれる.3)トマトにみられる生産性,経済性の個人差は,農家と関係機関の努力によって解消されなければならない.そのためには,技術,経営両面にわたる改善が必要である.4)産地農家においては,ビニールハウスの規模を拡大する必要が認められるが,その場合には,適正規模を検討するとともに,農家および関係機関の一体化による環境整備がすすめられなければならない.
- 千葉大学の論文
- 1966-12-31
著者
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