北里大学病院における移植腎生着からみた腎移植の条件の検討

概要

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北里大学病院で施行された生体腎移植91例(男67,女24),屍体腎移植9例に対して,手術時年齢,性,腎提供者との関係,移植前の透析期間等を調査し,それらの予後(再透析,移植腎剔出,死因など)との関係を検討した。(1)生体腎移植の腎提供者は,父親25例,母親42例,兄弟10例,姉妹10例,娘1例,非血縁3例であった。(2)被移植患者の手術時年齢は,平均27.14±1.01(M±SE)(男性;27.68±1.15,女性;25.52±2.11)であった。30歳を境に予後を判定してみると,30歳未満の患者は30歳以上に比べて予後は良いようであるが,腎提供者との血縁,非血縁と交絡しているため,予後に差が出ている可能性も否定できなかった。(3)腎移植100例中死亡したのは17例であったが,そのうち6か月以内に死亡した症例は10例で,6か月以後1年以内は4例であった。移植後1年目に移植腎が活動しているかどうかが,予後を判定する1つの目安になることが認められた。死因は,感染症9例,自殺2例,心不全2例,肺塞栓1例,肝不全1例,消化管出血1例,腹膜炎及び心包炎1例であった。(4)移植腎の予後を調べるにあたって,個体の寿命を指標として分析するよりは,移植腎の寿命を指標とした生命表分析が有意義であろうと考えられた。
北里大学の論文
1980-02-29