房室伝導に及ぼす抗不整脈薬の作用 : 房室伝導回復曲線による検討

概要

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8種類の抗不整脈薬(procainamide, disopyramide, mexiletine, propafenone, pilsicainide, propranolol, amiodarone, verapamil)が犬の房室伝導回復曲線に与える影響を投与前後で比較した。Pentobarbital麻酔,低体温下の雑種成犬で,基本調律(BCL)500 msecのペーシングおよび早期刺激を行い,抗不整脈薬投与前後の房室伝導回復曲線と不応期θを求めた。得られた個々の曲線を,指数関数y=α+βexp(-X/γ)にあてはめ,パラメータ:α,β,γを推定した。薬剤の影響は投与前後における各パラメータの差:⊿α,⊿θ,⊿γの薬剤別平均について比較した。指数関数へのあてはめはよい精度で行われた。α,θは8種類の薬剤すべてで投与後延長したが,有意(<0.05)であったのはαでprocainamide, pilsicainide, amiodarone,θでmexiletine, propranololであった。γは延長するもの,変化しないもの,逆に短縮するものに分かれたが,mexiletineが延長の傾向が有意(<0.05)であった。βの薬剤投与による変化はmexiletineで有意(<0.05)に減少した。曲線の変化の臨床的指標として,房室伝導の1:1がくずれブロックを生ずる最小のBCLとして定義されるWenckebach点の変化を検討した。この値はpropranololおよびverapamilで有意な増大がみられた。
北里大学の論文
1994-08-31