10歳前後の子どもにかんする社会学的考察 : N・K・デンジンの子どもの社会化論を手がかりにして
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概要
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本稿は10歳前後の頃の子どもが直面する課題について, 社会学的に考察しようとするものである。1節では, 臨床心理や小学校教育の現場における10歳前後の子どもについての声と筆者の問題意識とをかさね、2節で彼らに対する教育学的アプローチ, 心理学的アプローチ, 文化人類学的アプローチからの研究を紹介し, それらをまとめることで, 彼らが直面している課題は「抽象性」についてのものであることを示している。またその上で, 10歳前後の子どもに社会学的に接近する場合には, シンボリック相互作用論的アプローチが最も有効であることを明らかにしている。3節では現代の代表的なシンボリック相互作用論者であるN・K・デンジンの著した Childhood Sociaaizationをみることで, デンジンの子どもの社会化論を検討している。デンジンの考察から, 10歳前後の子どもの直面する「抽象性」にかんする課題とは, 遊びの場面でいうと「ゲームで遊ぶ」段階かち「ゲームを遊ぶ」段階への移行と考えられることから, それを確かめるために, つづく4節では「子どもの遊びにかんするアンケート調査」の分析をおこなっている。分析結果の考察と筆者が以前におこなった議論をかさねることで, 本稿では次のような結論を得るにいたっている。10歳前後の頃にあたる4年生は子どもにとって「抽象性」の世界の入り口にたつ時であり, そこで抽象的思考の必要度の高い遊びをすることをとおして「ゲームで遊ぶ」段階から「ゲームを遊ぶ」段階に移行しはじめ,「ゲームを遊ぶ」段階である5・6年生にもなると身体的・精神的成熟にともなう新しい「自己」概念が獲得される。
- 仁愛大学の論文
- 2002-11-01
著者
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