洞爺湖の内部静振
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概要
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洞爺湖を対象に,内部静振による水の流動形態および水温変動を明らかにすることを目的として,水温観測,風の観測,および二層モデルによる数値計算を実施し,検討を行なった。その結果,以下のことが明らかになった。(1)水温変動の観測から,卓越周期1,410分,870分の内部静振の存在が認められた。また,強風時には360分の短周期の振動が確認された。(2)卓越周期1,410分の振動は,湖の大きさに関係した主たる内部静振であり,周期870分,および360分の短周期の振動は,風向・風速による影響が大きい振動であることが推察された。(3)これら三つの振動は,数値計算からも認められ,その周期は観測値とよく対応した。(4)数値計算から,内部静振による水の流動には時計回りと反時計回りの方向があることが示され,周期1,410分の振動は反時計回り,870分の振動は時計回りの流動方向をもつ振動であることが明らかになった。(5)内部静振の振幅は,最大6mから7mであり,平均3mから5m程度であることが観測により確かめられ,数値計算でも同程度の振幅が得られた。(6)数値計算の結果から,島の存在は内部静振の周期を長くしていることが認められ,またその影響は,時計回りの流動に対して大きいことがわかった。以上,洞爺湖の内部静振について,その周期,振幅,流動方向,風との対応な芦,かなりの部分が明らかにされた。しかし,短周期の振動については,その流動方向など不明な点が多い。この点をさらに明らかにし,また長周期の流動を実測で確認するためにも,今後観測点を増加して研究を進めていく予定である。さらに,プランクトン,魚類など生物との対応についても,今後研究が進められるべきであろう。
- 北海道大学の論文
- 1983-12-20
著者
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