札幌市とその近郊のハムシ類の季節消長と食草選択性
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概要
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1.1979年と1980年の2年間にわたって,札幌市およびその近郊の雑草群落に生息するハムシ類の生態調査を行なった。2.合計31属42種のハムシが採集された。最も普通にみられた種はオオイタドリハムシGallerucida bifasciata Motschulsky,ウリハムシモドキAltichya menetriesi Faldermann,アカバナトビハムシAltica oleracea Linne,ホタルハムシMonolepta dichroum Harold,ニレハムシPyrrhalta maculicollis Baly,ヨモギハムシChrysolina aurichalcea Mannerheim,キアシノミハムシLuperomorpha tenebrosa Jacoby,クワハムシFleutiauxia armata Baly,キスジノミハムシPhyllotreta striolata Fabricius,アトボシハムシParidea angulicollis Motschulskyであった。3.調査された5調査地でのハムシ相を比較すると,人為的影響の比較的少ない調査地間よりも人為的影響の強い調査地の間で,類似度百分率において,より高い類似度を示した。これはオオイタドリ,エゾヨモギなどの調査地での増加に伴い,共通してオオイタドリハムシやウリハムシモドキが侵入するためと考えられた。4.個体数の季節変動は多くの調査地で5月下旬〜6月下旬と8月上旬〜9月上旬の2つの個体数増大のピークがみられた。この双蜂型ピークの原因について,前者は成虫越冬型のハムシの活動期に相当し,後者は成虫越冬型や卵越冬型のハムシの成虫羽化によると考えられた。5.オオイタドリハムシとウリハムシモドキについて室内摂食実験を行なった。その結果,狭食性のオオイタドリハムシは野外で忌避率の高い植物を摂食しなかったが,広食性のウリハムシモドキは,野外で忌避率の高い植物でも摂食した。このことから,野外での食草選択性とハムシ類の摂食性とは必ずしも一致しないことが証明された。
- 北海道大学の論文
- 1982-10-25
著者
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