抗菌薬の口腔組織移行性に関する基礎的研究 : β-ラクタム系抗菌薬の反復投与における組織内濃度の薬動力学的解析
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概要
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Wistar 系ラットにPIPC, CZXを100mg/kgの用量で腹腔内に反復投与し, 口腔組織ならびに血清と他の主要臓器への移行性を検討し, 以下の結果を得た。1) PIPCを4時間毎に2回反復投与したところ, 移行濃度は腎>肝>肺>血清>咬筋>下顎骨の順であった。2) CZXは6時間毎の3回反復投与で, 腎>血清>肝>肺>咬筋>下顎骨の順に高かった。3) 投与回数毎の組織内濃度はPIPC, CZXともにそれぞれ同程度で, 薬動力学的解析でも毎回のKa, Ke, T1/2に差はなく, 今回の投与間隔では各組織における蓄積性はみられなかった。4) 咬筋と下顎骨におけるCmaxはPIPCとCZXで大差はなかったが, CZXではT1/2がPIPCの約1.5倍長く持続性がみられた。5) 組織内濃度と血清濃度との相関は, 咬筋と下顎骨では他臓器に比べるとやや劣るものの, いずれも血清と高い相関関係が認められた。6) 以上より, 口腔組織は血清と同様の時間的推移をとることから, やはり血清内濃度を指標に抗菌薬の投与間隔を設定する必要が確認された。また, 今回の投与間隔では排泄臓器も含めて組織における抗菌薬の蓄積性がみられなかったことから, 特に移行性の低い口腔組織を対象とする本領域では, 投与量に対する配慮が重要であると考えられた。
- 神戸大学の論文
- 1998-03-31
著者
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