POMSテストからみた大学生の朝の心理特性と生活習慣との関連性について(III.自然科学系,研究紀要50周年記念誌)
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概要
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現代大学生の食生活を含む日常生活全般を見直す試みの一つとして,大学生の生活特性と心理状況の関連性をPOMSテストを利用して検討した。調査対象者は8時50分から始まる第1時限の講義に出席した学生148名とした。生活調査項目では1日の睡眠時間は6時間が61名(41.2%)と最も多く,続いて7時間の40名(27.0%),5時間の33名(22.3%)であった。平均睡眠時間は6.10±1.04時間(最大12時間,最小4時間)であった。1週間の運動頻度は1回47名が(31.8%)と最も多く,続いて2回の23名(15.5%)であった。平均運動回数は2.31±1.79回であった。「1日3食しっかり食べますか」の設問では「はい」が106名(71.6%)と多く,「いいえ」は42名(28.4%)であった。「栄養のバランスを考えて取っていますか」の設問では「はい」が77名(52.0%),「いいえ」が71名(48.0%)とほぼ同じ様子にあった。「食事の時間は規則的ですか」の設問では「はい」が71名(48.0%),「いいえ」が75名(50.7%)とほぼ同数であった。「外食の回数は週に何回ですか」の設問では2回が38名(25.7%)と最も多く,続いて1回が33名(22.3%)であった。平均外食回数は2.49±2.17回であった。「間食の食べ過ぎで食事が十分にとれないことがありますか」の設問では「いいえ」が118名(79.7%)と圧倒的に多く,「はい」は30名(20.3%)であった。「食事や栄養に関心がありますか」の設問では「はい」が127名(85.8%)と多かった。調査対象者全体のPOMSプロフィールではIcebergのプロフィールと比較して平均値でDとCがやや高めに,Vがかなり低くなっていた。睡眠時間ではIcebergのプロフィールと比較して6時間未満の睡眠時間群ではT, D, R, Cが高く,Vが低い様子にあったが,6時間以上睡眠時間群はT, D, FはIcebergのプロフィールと同レベルにあり,Aが低い様子にあった。各因子内では6時間未満睡眠時間群はT, A, F, Cが有意に高く,Vは逆に6時間以上睡眠時間群が高い傾向にあった。運動回数0回はIcebergのプロフィールと比較してT, D, F, Cが高く,Vが低かった。運動回数が多くなるにつれてVのピークがみられるようになり,よりIcebergのプロフィールに近似する傾向にあった。各因子内では,Tでは運動回数3〜4回が最も低く,運動回数0回と比較して有意に低い値を示した。また,運動回数5回以上では逆に高まり,運動回数3〜4回と比べ有意であった。Dは運動回数0回が他の運動回数群と比較していずれも有意に高い値を示した。Aでは運動回数1〜2回および3〜4回群が0回および5回以上群よりも有意に低い値であった。Vは運動回数が多くなるにつれて高まる傾向にあったが,有意ではなかった。Fは運動回数0回群が他群と比して有意に高い値を示した。Cにおいては4群間に大きな差異はみられなかったが,運動回数0回群と3〜4回群間に有意な差がみられた。「3食しっかり食べますか」の設問では「はい」と答えた群ではIcebergのプロフィールと比較してVがやや低い様子にあった。一方,「いいえ」と答えた群はDがやや高く,Vがかなり低い様子にあった。各因子内における比較ではVにおいて「はい」と答えた群が「いいえ」と答えた群よりも有意に高い値であった。「栄養のバランスを考えて食事をしていますか」の設問では「はい」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVが低い傾向にあったがほぼそれに近似するプロフィールを示した。一方,「いいえ」の群ではT, D, Cが高い様子にあった。「食事の時間は規則的ですか」の設問では「はい」と答えた群はIcebergのプロフィールと比較してVが低く,またAがやや低い様子にあった。「いいえ」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVがさらに低く,またDがやや高い様子にあった。「外食の回数は週に何回ですか」の設問では中でもVは外食回数が多くなるにつれて高くなる傾向がみられた。「間食のとりすぎで食事が十分にとれないことがありますか」の設問では「はい」と答えた群はIcebergのプロフィールと比較してD, Cが高く,Vが低い傾向にあったが,「いいえ」と答えた群ではVは低いもののIcebergのプロフィールに近似したプロフィールを示した。「食事や栄養に関心がありますか」の設問では「はい」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVが低い傾向にあったが,ほぼそれに近似するプロフィールを示した。一方,「いいえ」の群ではD, F, Cが高く,Vが大幅に低い様子にあり,あきらかにIcebergのプロフィールと異なったプロフィールを示した。各因子内における比較では「はい」と答えた群が「いいえ」と答えた群よりもFが有意に低い結果を示した。各設問項目におけるPOMSスコアは睡眠時間6時間未満の群は6時間以上の群よりも有意に高かった。運動回数の違いでは運動回数0回群が他の群よりも高く,運動回数1〜2回群および3〜4回群に対して有意であった。
- 千葉大学の論文
- 2002-02-28
著者
-
村松 成司
千葉大学教養部
-
広田 悠子
千葉大学教育学部
-
齋藤 初恵
東京学芸大学連合大学院教育学研究科
-
近藤 健吾
エコー
-
岸 恵美
千葉大学教育学部大学院
-
岸 恵美
千葉大学大学院
-
村松 成司
千葉大学教育学部
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