情報システムを構成する技術と倫理 : BPRが隠蔽する目的と主体性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では、今日の情報システム構築において前提とされているBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)という手法を、技術倫理という視点から検討する。この手法、BPRの画期的な視点は、従来の構築技法が、目的から手段(技術)を演繹することで問題解決を図るアプローチであったのに対して、逆に、テクノロジーから、解決可能な問題を発見する、という帰納的なアプローチをとるところにある。こうした従来の技術手段論とは異なる視点は、その後のインターネットの社会化の過程で、「威力」を実証されていくのであるが、本稿で指摘するように、この手法は、適用される技術に対する社会的吟味を原理的に回避するものであり、「可能性の専制」と呼ばれる状態を後押ししている。本稿ではこうした問題意識から、功利主義的な価値基準が結晶した形態としてBPRを評価し、それに対して、カント義務論的な要素(関係の対称性)を実現するシステム評価の基準として導入することを提案する。
- 作新学院大学の論文
- 2005-03-23
著者
関連論文
- 携帯電話コミュニケーションを考えるための考察 : 非連続的空間の拡大と可視化される人間関係
- 「考えさせる教育」について考察するための覚書 : 行為とコミュニケーションの視点から(学校での「自分で考えさせる教育」をみんなで考えよう)
- オープンソースのMind Mapping Software, FreeMindを使い思考を可視化する(研究のツールボックス 第5回)
- 中学・高校生の携帯電話利用実態に関する調査報告(2) : 2007年度社会調査及び実習Iのデータをもとに
- Web2.0的ユーザーとは何か(第16回 社会と情報に関するシンポジウム)
- 高校生の携帯電話利用実態に関する調査報告(1) : 2006年度「社会調査及び実習I」のデータをもとに
- 情報システムを構成する技術と倫理 : BPRが隠蔽する目的と主体性
- 「IT化」によって自覚される社会関係と対称性 : 社会的情報システム論の対象と課題
- 社会的情報システム論の射程と専門家(集団)の役割