「IT化」によって自覚される社会関係と対称性 : 社会的情報システム論の対象と課題
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概要
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住基ネットは,11桁の住基コードを全国民に付番した.これがきっかけとなって、このシステムのもつセキュリティ脆弱性や,国家による個人情報悪用の危険が指摘されている.そこでは、システムヘの外部からの侵入などによるプライバシーの侵害が問題とされ,セキュリティが話題となっている.しかし,公務員が正しく情報を扱い,外部からの侵入,漏洩がないならば,このシステムに問題は,ないのだろうか.本稿では,まず付番にともなう違和感に注目し,その違和感の発生は,住基ネット以前に,私たちが,国家に登録される時点にまでさかのぼるべきものであり,その関係が顕在化したことによって喚起されたものであることを述べる.そのように考えるならば,プライバシー保護論では,カバーできない領域がある.その上で,一切のIT化を拒否するという立場でないならば,どこかでリスクと利便性を天秤にかける必要がでてくるが,その視点として,クリティカルな情報を流通するアプローチではなく,隔離し,それへの照合をおこなうシステムを採用すべきであること.そして,自治体が,そのようなデータの管理場所として,住民の信頼を獲得できるかどうかが,今後のITの社会的展開においては,重要であることを述べる.
- 作新学院大学の論文
- 2004-03-30
著者
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