月借銭解における数字の使用
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概要
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古代日本の文書で使用される漢数字は、一・二・三といった通常字とともに、壹・貳・參といった大字も使用される。古代の借金申込書である月借銭解においても通常字と大字がともに使用されているが、その使用の状況は詳らかになっていない。そこで、正倉院文書に残されている月借銭解のうち、断簡を除いた八六通を対象にして、(イ) 借入金額、(口) 利子、(ハ) 質物の数量等、(ニ) 申請年月日・返済期限、(ホ) その他、の各項目ごとに検討を行った。検討を通じて窺い知られることは、月借銭解における大字の使用は記載される対象の重要度に対応しているということである。借入合計金額に大字が多く用いられるのは、借入合計金額に対する認識を反映している。また、借入合計金額が大字で表記される場合、利子、質物の数量、および各借主の借入金額の数字は、複数の志向が相俟って使用されていると考えられる。
- 九州女子大学・九州女子短期大学の論文
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