学童給食の残食量と嗜好調査について
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概要
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1.本調査ぱ大阪市天王寺区某小学校の1年46名,4年43名,6年57名,計149名を対象として学校給食に於ける残全量とそれより得た栄養摂取状況の検討並びに嗜好調査を行った結果である。2.栄養摂取状態を学校給食栄養量基準からみて,(1)熱量と蛋白質についてみれば,約8割以上の学童が摂取率80%以上に達している。(2)カルシウムとV.Aぱ全学年を通じて基準量に達していない。これは献立自身に不足している為である。現在も補給する為に努力されてはいるがなお一層強化するか材料の選択によって少しでも基準量に近づくように留意されたい。3.年令別所要量からみて,(1)熱量や蛋白質は高学年でぱ不足し易い。(2)カルシウムは80%以上摂取の者が1年82%,4年24%,6年0と高学年程減少している。V.Aは80%以上摂取した者が1年で55%あった他は4年,6年共0であった。以上からパンや副食に是非年令別の差をつけて欲しいと思う。4.パンについては入学して間もない1年生には珍しさから喜ばれているようだが,高学年になるに従い批判的である。残食量からみると1年と6年の間には大して相違がないという事は,1年は美味しいと思いながら食べきれず,6年ではまずくて食欲が出ないという事がうかがわれる。5.副食については献立の名称ではいろいろと変化に富んでいるが,料理に殆ど同じような方法がとられている。栄養面では合理的であろうが食味上では倦きかきやすい。是非倦かないように型にはまらないような給食とすべきである。6.ミルクについては最初の予想に反して100%近く飲まれているが,高学年になるに従い嗜好的に嫌う傾向にある。牛乳が重要な栄養源であって特にカルシウム源として欠く事の出来ないものである限り,もっと調製法の研究をすると共に,希望する者には更に多く与え得るようになれば幸いと思う。7.食品の嗜好調査では魚類全体,人参,鯨ベーコンが嫌われていたがこれらは重要な栄養源であり,特に魚類は我々の周囲にぱ豊富な食品なので学童向きの調理法を研究してもっと利用していきたいものである。8.調査を行ってみて給食の衛生状況や食事態度は数年前に比べ一段と良くなっているが,学童が入学以来6年間の昼食を賄うという使命は甚だ大きいものがあるから,各学校に於ける給食担当者は其の学校に応じた特色のある指導を行い,衛生上,調理上の一層の向上がなされる事は今後印大きな課題であろう。終りにのぞみ終始御懇篤な御指導を陽った学長下田吉人先生,調査に際し直接協力を借しまれなかった調査校の教諭,学童の皆さん,並びに本学研究科の諸姉に深く謝意を表します。
- 1961-06-01
著者
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