新たな医療制度における費用負担構造の分析
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概要
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新しい医療制度改革案が厚生労働省によって発表され,2006年現在,国会で審議が行われている。この論文は,この新しい高齢者医療制度における費用負担の構造を分析したものである。本稿では,新しい医療制度は財政調整機能が非常に強いため,費用負担が非常に偏り,被用者保険の負担が重く,国民健康保険の負担が軽くなることを示す。 さらに,新しい制度において,75歳以上の老人である後期高齢者は独立した高齢者医療制度に加入するため,被用者保険は,もはや後期高齢者の老人医療費を直接コントロールできなくなる。被用者保険は,後期高齢者の老人医療費を抑制しようとするインセンティブを失い,増大する老人医療費のツケをただ支払わされる形になる。 この結果,被用者保険は,自分ではコントロールできなくなった老人医療費の大きな負担を負わされ,財政破綻が起きる可能性が高い。まさに,動学的に非常に不安定な体系をみることができる。新たな高齢者医療制度は,長期的に持続可能なものでなく,早急に抜本的な改革に迫られることになる。
- 北海道大学の論文
- 2006-06-08
著者
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