地方財政の構造とメカニズム
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概要
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本稿は、わが国の地方財政の構造を制度分析の観点から分析し、地方財政の現状は制度の下で経済主体が合理的に選択した結果であり、「制度の下での均衡」であることを示す。わが国の地方財政は、地方交付税や国庫支出金などが一体となり、すべての地方団体の財源を保障する仕組みになっている。このとき、国の計画は一般に地方団体の抵抗なしに遂行されている。なぜか?国は、計画に基づき、地方団体に事業の採用を求める。このとき、地方団体がこの事業のために実際に負担する金額(価格)は非常に低くなっている。さらに、この地方団体の地域住民は、この事業が新たに始まるからといって、一銭も追加的な税負担を求められない。この結果、受益と負担の関係が曖昧となり、地方団体も地域住民も、公共財に対する対価(価格)の意識が麻痺してしまっているのである。このため、公共投資は過大になり、地方団体の財源不足が拡大している。本稿では、地方財政の制度を分析し、なぜ公共投資が過大になっているのか、なぜ地方財政の不安定性が生じているのかを考察している。以上の結果を踏まえ、望ましい制度改革の方向を示すとともに、北海道の道州制の議論を批判的に検討している。
- 北海道大学の論文
- 2004-09-09
著者
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