食品包装の研究(第2報) : 脱酸素剤による食用油保存性の向上
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概要
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食用油は密封容器内に保存したとき,開封されないでも長期間保存中に風味等の低下が認められている.これはヘッドスペースおよび池中の溶存酸素による自動酸化に原因するものと思われる.このような食用油の保存中の変質を少なくするために,鉄系脱酸素剤の利用法を検討した.脱酸素剤を密封容器の油中に浸せき,またはヘッドスペースに釣り下げたときに,過酸化物価および酸価の増加は約4ケ月放置後も僅かであり,かなり完全に酸化防止ができた.脱酸素剤を保存容器のヘッドスペースにのみ釣り下げた場合も過酸化物価の上昇はわずかであり,その効果が認められた.脱酸素剤を池中に浸せきした場合は,酸素吸収速度がゆるやかなために,ヘッドスペースからの酸素の池中移動時および油/ヘッドスペースの界面付近で進行すると思われる自動酸化が起こり,過酸化物価は脱酸素剤をヘッドスペースに釣り下げた場合よりも増加した.しかしヘッドスペース容積が小さい場合に脱酸素剤を池中に浸せきした場合は,ヘッドスペースに脱酸素剤を釣り下げた場合と同程度に過酸化物価の増加を抑制することができた.このとき池中の脱酸素剤がヘッドスペース中の酸素を油層経由で吸収するという興味ある現象を確認した.鉄系脱酸素剤はヘッドスペースおよび油中溶存の酸素を吸収できたので,包装法等を更に工夫することにより,食用油貯蔵時の酸化防止に利用しうる.
- 名古屋文理大学短期大学部の論文
- 1994-04-01
著者
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