四国・登層の海棲珪藻と地質時代
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概要
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四国の登層の珪藻群集は, 海棲沿岸性種が優勢である。現生珪藻種の地理的分布から判断すると, 登層は沿岸帯(沿岸性種が群集の70-100%を占める深度200m以浅の区域)の暖海的海况の下に堆積したものといえる。これは, 底棲有孔虫などによる従来の推論とほぼ一致する。 また珪藻群集の一部を占める絶滅種の産出を, 北太平洋域における珪藻事件の層位的位置と比較すると, 登層の堆積の時期は中期-後期鮮新世(約300-390万年前)と判断される。この判定は, 従来のココリス, ディスコアスター, 放散虫などの結果と矛盾しない。浮遊性有孔虫による推定も, その範囲内, つまり後期鮮新世前半(BLOW の化石帯の N.21前半)を指示する。 今回, そうした従来の研究の材料が得られてきた崖よりも, はるか上位にくる同様規模の登層の露出を発見し, 調べてみたが, 上記の結論に変りはなかった。不整合をもって登層の上位にくるとされている"唐ノ浜層"の模式地より, 1浮遊性有孔虫群集を抽出したが, やはりほぼ同一の地質時代(N.21)が示唆された。
- 1976-10-29
著者
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