<国立科博専報>伊豆地方出土古人骨資料の調査
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概要
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静岡県駿東郡清水町長沢の弥生時代後期遺跡出土と伝えられた古人骨資料について, ラセミ化年代測定により, その年代をほぼ確かめることができたので, 4個体分の部分骨格と歯に関して, 詳細な形態学的記載と計測を行った。比較的よく保存されている成人男性個体の所見を中心にみた場合, 長沢人骨のおもな特徴としては, 大きな脳頭蓋, 長頭蓋型, 広顔型, 歯槽性突顎, 鉗子状咬合, 浅い角前切痕, 幅広い下顎技, 頻度の低い歯のう蝕, 扁平でない上肢骨, やや弱い柱状性を示す人腿骨, 扁平脛骨, が挙げられる。これらの特徴群には, 繩文時代人的なものと, 古墳時代あるいは歴史時代人的なものの両方が含まれており, この人骨の移行形的な性格を物語っている。このほか, 断片的資料ではあるが, 今回調査する機会のあった, 田方郡函南町柏谷百穴の第1次調査出土古墳時代人骨, 賀茂郡河津町波来横穴出土の古墳時代人骨, 田方郡修善寺町大平遺跡出土の中世人骨, 田方郡大仁町三福前田畑出土の近世人骨について, それぞれ保存状態と形態学的所見の記載と, 可能なかぎりの計測を行い, 今後の比較のための基礎資料として記録した。
- 1981-12-01
著者
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