小児ネフローゼ症候群の病態 : Anionic sites の面から
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概要
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小児ネフローセ症候群における蛋白尿の成因とcharge selective barrierの破綻との関係を明らかにするため,polyethyleneimine (PEI)を用いて小児ネフローゼ患者の糸球体基底膜のanionic sitesの変化を電顕にて定量的に観察した。対象はネフローゼを呈する巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)4例,微少変化型ネフローゼ症候群(MCNS) 4例と,コントロールは良性血尿3例と腎機能正常なBartter症候群1例である。PLP固定後の生検標本をSchurerらの方法に準じてPEI染色し,20000倍の電顕写真にして観察し,外透明層に配列するPEI粒子数を糸球体基底膜1000nmあたりで算出した。正常コントロール群に比べてネフローゼ症候群(FSGS群およびMCNS群)では,糸球体基底膜外透明層のanionic sitesは有意に減少しており(基底膜1000nmあたり21.1±0.2vs16.2±0.3and16.2±0.5,p<0.001),anionic sitesの減少と蛋白尿の成因との関連が示唆された。また,FSGS群は硬化性病変のない糸球体でも,MCNS群と同等のanionic sitesの減少が認められ,両疾患の病因には共通性があると恩われた。
- 神戸大学の論文
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