C.P.C. Nasal NK/T-cell lymphoma: 化学療法による2度の完全寛解後, 中枢神経系及び全身臓器に再発を来した症例(56歳, 男性)
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概要
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症例は56歳,男性. 7年前にNasal NK/T-cell lymphomaと診断され,化学療法を受け完全寛解となった. 最初の診断より4年後,再発を来し再度完全寛解の状態で経過していた. 寛解より3年後,夜間咳嗽,呼吸困難が出現し,精査加療目的に当院に入院となった. 胸腹部CTと胸腹水及び脊髄液穿刺の結果より,脾,肝,胸腹水,中枢神経におけるリンパ腫の再発と診断された. 入院後計5回の化学療法を施行したが,一時的効果は認めたもののすぐに再燃し徐々に増悪を認めた. 経過中に閉塞性イレウスを併発し,痴呆症状が出現した. 2度目の再発から4ヶ月後,39度台の高熱が持続し,2日後に呼吸不全,血圧低下を来し死亡した. 病理解剖では,肺,脾,肝,消化管,中枢神経などが全身臓器にリンパ腫細胞の浸潤が認められた. 臨床的に死因は,脳幹部にリンパ腫細胞が浸潤したことによる中枢性の呼吸不全とされていたが,組織学的に浸潤は認められたものの軽度であった. しかしながら,肺へのリンパ腫細胞の浸潤は呼吸器不全を来すほどではなく,また,上気道の閉塞等も認められなかったことから,最終的に脳幹へのリンパ腫細胞浸潤による中枢性呼吸不全により死亡したものと推察した.
- 長崎大学の論文
著者
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林 洋子
長崎大学医学部第一病理
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林 洋子
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科探索病理学
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林 洋子
長崎大学探索病理
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今西 大介
長崎大学原研内科
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辻本 愛
長崎大学医学部5年次学生
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林 洋子
長崎大学医学部探索病理
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林 洋子
長崎大学大学院病理学第一
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