タイにおける対日輸出用農産物の安全対策
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概要
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本稿では, タイの農産物の安全対策の現状を把握するため, 現地輸出業者に対して聞き取り調査を行い, タイの農産物安全対策の現状と課題について考察した.日本での残留農薬問題解決のため, タイ政府は輸出業者に対し適正農業規範(GAP)に沿った安全な産品を輸出するよう要求した.そのため各輸出業者は農家に生産の改善を促し, 生産の各プロセスの危害を厳しく分析し, それらを最小限にとどめるGAPの概念を徹底し, 実行させる必要があった.オクラは主に日本向けに契約栽培されているため, 業者が農家にGAPを実行させることは比較的容易であった.一方, オクラ以外で問題の生じた野菜類はタイ国内での流通を主としており, 輸出業者はこれらを卸売市場や流通業者から調達していた.そのため生産現場へのトレースバックが難しく, 直接農家に生産改善を要求することは困難であった.結局, オクラを除く野菜類の生産段階での対策は現在まで実施されておらず, その安全性確保は輸出前の最終義務検査によって対応している.タイはこれまで主に国内需要用に生産されてきた生鮮果実などの輸出拡大をも目指しているため, 安全性の不確実な産品が輸出される可能性は残っている.生産面の改善により農業生産のボトムアップを図り, 検査に依存しないより確実な安全性の構築が必要である.
- 2005-12-01
著者
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川島 博之
東京大学大学院農学生命科学研究科
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川島 博之
東京大学農学生命科学研究科
-
高田 直也
農畜産業振興機構
-
川島 博之
東大 大学院農学生命科学研究科
-
渡邉 夏紀
東京大学大学院農学生命科学研究科
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