中部ジャワにおける有機農業の動向
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概要
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インドネシアの有機農業は極めて限られた範囲に留まっているものの,ジャワ島中部を中心に国内における有機農産物市場が形成されつつある.本稿では有機農業の具体的な取り組み,有機農業の担い手及び流通業者の動向把握を目的とし,2003年9月にジャワ島中部に位置するジョグジャカルタ市およびその近郊に位置する有機農業関係者に対して行った聞き取り調査結果を報告する.ジョグジャカルタで有機農産物市場が形成されはじめたのは,1997年に有機農産物販売店SがイギリスのNGOの支援を受けて設立されたことによる.2003年現在,Sは14の有機農業グループから有機農産物を仕入れ,ジョグジャカルタ市内のみならず,ジャカルタなどジャワ島内の主要都市に流通させている.有機農業は,1970年頃から取り組みが行われていたが,グループとして組織的な取り組みが始まるのは1980年代後半であった.有機栽培は慣行栽培に比べて単収が低いものの,近年有機農産物価格は慣行栽培品に比べて高いため,完全な有機農業に取り組みたいと考える農家が増えている.しかしながら,有機肥料の原料調達が課題であるために,完全な有機栽培に移行できる農家は少数に留まっている.一方,インドネシアでは近年コメを毎年輸入しており,慣行農業に比べて単収の低い有機農業の動向についてはさらなる調査,研究が求められる.また,インドネシアには有機農産物の品質を保証する認証システムが整備されていないのが現状であり,有機農産物に対する消費者の信頼を維持できるかどうかについて注視する必要がある.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2004-12-01
著者
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