農業立地の違いが西ジャワ・ボゴール県におけるキャッサバの生産と役割に及ぼす影響

概要

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ジャワでは,キャッサバは19世紀に導入されて以来,米が不足する端境期に利用されることが多く,伝統的に米の不足分を補う付加的食料とみなされてきた.しかし,1960年代からインドネシア政府が進めた食糧増産政策により水稲生産が急増しはじめたのに伴い,キャッサバの生産や利用にも変化が起こった可能性がある.本研究では,西ジャワ州ボゴール県の地理的条件の異なる3か村を比較し水稲生産力の違いや都市化の進行などが,キャッサバの栽培と利用に及ばす影響を検討した,調査の結果,現在でも水稲生産力の低い村では付加的食糧としてキャッサバが利用されていたが,水稲生産力の高い村では商品作物として栽培されていた.都市化の進んだ村では,増加した農業外就業の機会を生かすため,手間のかからないキャッサバを商品作物として単一栽培していた.キャッサバを自家消費している村では化学肥料の施用量が少なく,在来品種を用いた伝統的なキャッサバ栽培が行われていた.一方,キャッサバの商品化が進んだ村では,高収量品種が広く普及し,化学肥料の施用量も多かった.
2003-06-01