遠心力がヒト培養細胞に与える影響 : 第 2 報遠心力の持続的付与が骨系細胞と歯根膜細胞に与える影響について

概要

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矯正学的歯の移動をin vitroにおいて実験モデル化する多くの試みがなされてきた.本研究では同一外科矯正患者から同時に採取した下顎骨片と健全な下顎第一小臼歯よりおのおの骨系細胞と歯根膜細胞を剥離して培養し, 両細胞の本培養期間中に持続的遠心力(毎分50∿250回転)を付与し, 以下に示す種々の生理活性物質の産生量および骨吸収能を測定し, 持続的遠心力が両細胞に及ぼす影響の相違について比較した.また以前報告した間欠的遠心力を両細胞に付与した場合との相違についても検討した.その結果, 1. DNA合成能およびALPase活性は, 骨系細胞では毎分50回転で, 歯根膜細胞では毎分50回転と150回転でそれぞれ有意に促進され, 間欠的遠心力の場合に比べ低回転での促進の効果がみられた.2. cAMPおよびPGE_2産生量は, 骨系細胞では毎分50回転と150回転で有意に抑制され, 歯根膜細胞では毎分150回転を中心にすべての回転数で抑制傾向があった.間欠的遠心力の場合と比べて骨系細胞では同様の傾向であったが, 歯根膜細胞では間欠的遠心力に反応性がなかったこととは明らかな差異がみられた.3. IL-6産生量は, 両細胞とも持続的遠心力によって一部の回転数で促進的傾向はあったが, 有意な変化は示さず, 前報と同様の傾向であった.4. 骨吸収能は遠心力を付与した培養上清を用いると両細胞とも毎分150回転と250回転で有意に抑制され, やはり前報と同様の傾向が再度示された.以上のことから, 両細胞のDNA合成能と細胞内ALPase活性は低回転の持続的遠心力に対して促進することが示され, cAMP産生量, PGE_2産生量とは負の相関関係があることが示唆された.また, 両細胞の骨吸収能は両細胞が産生するPGE_2の影響を直接的に受けやすいが, IL-6が骨吸収能に直接影響を与てている可能性はきわめて少ないことも示唆された.
日本矯正歯科学会の論文

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