微小圧力センサーを用いたサル顎関節部荷重の直接測定

概要

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関節円板の変形や穿孔を伴う顎関節症の発症には, 一要因として異常な顎関節部負荷が関連していると推測されている.しかし, 咀嚼運動中に顎関節部に作用する荷重の正確な値は測定されていない.そこで本研究では, 咀嚼運動中でのサル下顎頭表面の局所的な荷重を直接測定するために, 生体親和性の優れたハイドロキシアパタイト(HAP)焼結体と圧電性をもつチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)焼結体を積層した微小圧力センサーを考案し, そして開発した.最初に, 開発した圧力センサーのキャリブレーションを繰り返し荷重条件下で行った.その結果, 9.8 Nまでの荷重とセンサー積分出力の間には直線関係(r=0.998)がみられた.次に, この圧力センサーをサルの下顎頭の前上方部に埋め込み, 硬食物咀嚼中に下顎頭に作用する最大荷重および咀嚼周期を記録した.その結果, 下顎運動のMaximum opening時には2.05 N, Chewing時には0.44 N, そしてGrinding時には0.32 Nの最大荷重が計測された.荷重がセンサー面に均一に分布していると仮定すれば, これらの最大荷重は, おのおの0.29 MPa, 0.06 MPa, そして0.05 MPaの最大圧力に相当する.また, 咀嚼周期についてはChewing時で約400 msec, Grinding時で約180 msecであった.
日本矯正歯科学会の論文