<原著>硬食物咀嚼運動時のサル顎関節部荷重と咀嚼筋筋活動との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は,顎口腔系の生体力学の解明を目的として,サル硬食物咀嚼運動中における顎関節部荷重の変化と咀嚼筋筋活動とを同時測定し解析を行った.顎関節部荷重の測定は,HAP/PZT微小圧カセンサーを用い,また筋活動の測定は,針電極にて測定した.その結果,1)術後の筋放電時間は術前に比べ若干の時間的短縮が認められたが,肉眼的観察,ビデオ撮影,および開口量など併せて判断して術後の外科的侵襲の影響は少ないものと思われた.2)術前後の左右側咬筋筋活動の時間差により,非作業側咬筋筋活動が作業側より早く活動を開始することが確認された.この事より,サルが左右側のどちらで咀嚼運動を行っているかがより詳細に判定できた.3)顎関節部荷重が増加し始める点または急増し始める点は,咬筋筋活動のピーク値とほぼ一致していることが分かった.この事から,咬合相の開始時に顎関節部荷重が増加し始めると考えられた.また,最大荷重が発生する点は咬筋筋活動の休止期間に存在していることが分かった.4)顎関節部に作用する最大圧力は,作業側では咀嚼運動が進行するに従って0.5〜1.5MPaの範囲で増加する傾向を示し,逆に非作業側では0.5〜2MPaの範囲で減少する傾向を示した.以上のことから,サル硬食物咀嚼運動時の顎関節部荷重は,咬合相の段階から増加し始めるものと考えられた.また最大荷重は,咀嚼周期に占める各相の割合から判断して,開口相で発生している可能性が高いと考えられた.
- 朝日大学の論文
- 2002-06-20
著者
-
犬束 信一
朝日大学歯学部歯科矯正学講座
-
丹羽 金一郎
朝日大学歯学部歯科矯正学講座
-
丹羽 金一郎
朝日大学名誉教授
-
犬束 信一
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座歯科矯正学分野
-
福島 和弘
朝日大学歯学部歯科矯正学講座
-
丹羽 金一郎
朝日大学歯学部口腔構造機能発育学講座歯科矯正学分野
関連論文
- 上顎大臼歯の遠心移動により非抜歯で治療した反対咬合症例
- ディジタル側面頭部X線規格写真撮影の画質の評価
- 非抜歯で治療した叢生症例
- Rapid expansion とdifferential force を用いて治療した骨格性下顎前突症例
- 下顎両側側切歯の先天的欠如を伴う叢生症例の一治験例
- 骨格性下顎前突症患者における咀嚼時下顎頭運動の解析
- 日本サルの安定した片側咀嚼中における作業側および非作業側顎関節部荷重の変化
- 良好な側貌変化が得られた上下顎前突症の1治験例
- 硬食物および軟食物咀嚼運動時におけるサル顎関節部と咀嚼筋活動との比較
- 片側咬合挙上したサルの咀嚼運動中に生じる咬筋筋活動ならびに顎関節部荷重変化
- 顔面非対称を伴う骨格性下顎前突症の-治験例
- Bionatorを用いて良好な結果が得られたAngle?級1類の一治験例
- 朝日大学歯学部附属病院矯正歯科における顎変形症に対する臨床統計学的観察
- 硬食物咀嚼運動時のサル顎関節部荷重と咀嚼筋筋活動との関係
- 微小圧力センサーを用いたサル顎関節部荷重の直接測定
- HAP-PZT積層セラミックス微小圧力センサーを用いたサル下顎頭に作用する最大荷重の直接測定
- P-67 アパタイト-PZT積層セラミックスからなる微小圧力センサーの作製 : 生体力学計測用として
- ラットの舌の大きさが顎顔面頭蓋の成長発育に及ぼす影響
- 正中線の偏位を伴った成人叢生症例
- 6.咬合物質の厚さの違いが頭蓋の変形パターンにおよぼす影響 : 食品を咬むと頭蓋はどのように変形するのか(第146回岐阜歯科学会例会)
- 歯肉退縮を伴う上下顎前突症の一治験例
- 改良型酸反応性フロロアルミノシリケートガラス材(改良型(S-PRG材)の歯科矯正用ダイレクトボンディング材への応用
- 多数歯欠損と著しい下顎の偏位を伴った骨格性下顎前突症の一治験例
- 1.矯正材料とプラークとの関係(第139回岐阜歯科学会例会)
- カルシトニン全身投与が上顎急速側方拡大後の後戻りに及ぼす影響
- 骨格性下顎前突の2治験例
- イヤーロッドを用いないで撮影した自然頭位側面頭部X線写真の再現性とその有効性について
- 上位頸椎の形態と顔面形態の関連 : 男子群について
- 上顎第二小臼歯の異所萌出および上顎第一小臼歯, 犬歯の埋伏を伴った Angle I 級症例
- 上顎歯列の狭窄を伴った下顎前突症の一治験例
- 下顎枝矢状分割術, 下顎前歯部歯槽骨骨切り術ならびに舌縮小術を行った骨格性下顎前突症の一治験例
- 朝日大学附属病院矯正歯科における顎変形症患者の臨床統計的観察
- 開咬を伴う骨格性下顎前突症の一治験例
- マウス臼歯エナメル器におけるIFN-γ mRNAの検出と発現および局在
- 上顎埋伏犬歯を伴う成人開咬症例 : 筋活動・顎運動による評価
- オトガイ形成術を施した後, 切除部に骨の再生をきたした骨格性下顎前突の一治験例
- 下顎枝垂直骨切り術を施した骨格性下顎前突の一治験例
- 高校スポーツ選手の顎口腔系の形態と機能 : 第2報 歯および歯列の特徴について その2
- 高校スポーツ選手の顎口腔系の形態と機能 : 第1報 歯および歯列の特徴について
- スポーツ選手の顎口腔系の形態と機能 : 第2報 セファロ分析について
- 4.硬食物咀嚼運動時のサル顎関節荷重と咀嚼筋筋活動との関係(第135回岐阜歯科学会例会)
- 手術後7年間経過観察を行った幼児の顎関節強直症の1例
- Rapid expansion と differential force を用いて治療した骨格性下顎前突症例
- 著しいオーバージェットを伴った上顎前突の1治験例
- 実験的インプラントの固定歯としての有効性
- 成人水平埋伏下顎第二小臼歯の1牽引症例
- 骨格性下顎前突者の顎顔面形態について : 形態類似性に基づく分類と下顎の偏位との関連について
- 微小圧力センサーを用いたサル顎関節部荷重の直接測定 : 硬食物咀嚼時における作業側と非作業側顎関節部荷重の比較
- 犬歯抜去を行った叢生症例
- 変則抜去を行った叢生症例
- 矯正用ブラケットに付着する口腔内細菌について
- Multiloop edgewise archwire 法を用いて治療した若年者の開咬症例
- 非抜歯で行った叢生症例
- 上下顎前突の一治験例
- 上下顎前突の一治験例
- 外科矯正治療における顎位決定のためのスプリント療法について : 第一報 作製方法
- 顎態模型を用いた咬合平面傾斜角の測定法
- 審美性ブラケットの考案