女性 I 級叢生 "borderline case" での抜歯・非抜歯治療における側貌変化の比較
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概要
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Hellman's dental age IVA以後の日本人女性I級叢生"borderline case" 20人の抜歯治療(11人)と非抜歯治療(9人)における側貌形態について, 側面頭部X線規格写真, 石膏模型, 顔面写真を用いて比較検討した.治療開始時の平均年齢は, 17歳8か月±4歳1か月であった.I級叢生"borderline case"の選定基準は, (1)上下顎中切歯歯軸傾斜角が±1S.D.内, (2)下顎のarch length discrepancyが-でその絶対値が3mm以上7mm未満, (3)臼歯部に交叉咬合が認められない, (4)口唇の突出感が強くないこと, などである.本研究の主たる目的は, I級叢生"borderline case"における抜歯治療と非抜歯治療が軟組織および硬組織側貌に与える影響について検索することであった.治療前における軟組織および硬組織の各計測値に関して両グループの間に有意差は認められなかった.治療後における比較では, 抜歯群に対し非抜歯群で上下顎中切歯が有意に唇側傾斜し, また, 下唇が有意に突出することが認められた.以上のことから, 日本人I級叢生"borderline case"の治療においては, 抜歯治療では上下顎切歯の過度の舌側傾斜をコントロールしながら抜歯空隙を閉鎖できれば口唇の著しい後退を避けることができ, また非抜歯治療では過度の上下顎切歯の唇側傾斜をさせずに歯列弓を拡大することができれば口唇の著しい突出を避けることができ, 抜歯治療, 非抜歯治療のいずれの治療法でも, 軟組織・硬組織側貌を含めた満足できる治療結果が得られることが示唆された.
著者
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平下 斐雄
鶴見大学歯学部歯科矯正学講座
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戒田 清和
鶴見大学歯学部歯科矯正学教室
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平下 斐雄
鶴見大学 歯学部第二歯科保存学教室
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平下 斐雄
鶴見大学歯学部矯正学助教授
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磯野 浩昭
鶴見大学歯学部矯正学教室
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戒田 清和
鶴見大学歯学部歯科矯正学講座
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平野 正芳
鶴見大学歯学部矯正学教室
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