顎関節症を伴った成人の骨格性下顎非対称症例の非観血的 1 治験例

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顎関節症の治療において, スプリント療法は単独または他の治療法と組み合わせて広く行われており, 顎関節症状の改善に有効な手段である.このうち, 整位型スプリントを用いた治療では, 顎関節症状の改善と下顎位の整位が可能である.しかし, 整位後の下顎位を保持するには, 補綴治療や歯科矯正治療による咬合再構成を行う必要がある.下顎骨の骨格的な非対称が認められる成人の顎関節症患者に対し, スプリントにより下顎位を整位した後, 歯科矯正治療による咬合再構成を行った結果, 顎関節症状が改善され, また良好な咬合が得られたので報告する.患者は初診時年齢の女性で, 開口障害, 左側顎関節の疼痛および捻髪音, 右側顎関節部の疼痛が認められた.MRI所見により左側関節円板の非復位性前方転位が認められた.右側関節円板の前後側方的な転位は認められなかった.下顎骨の非対称と左側側切歯から同側第二大臼歯までの交叉咬合が認められ, 正貌は非対称であった.矯正治療の結果, 顎関節部の疼痛と開口障害は消失し, 整位後の下顎位で緊密な咬合関係が確立された.術前後の顎関節同時多層断層X線写真所見より, 左側下顎頭の前下方への位置変化が認められた.右側下顎頭に位置変化は認められなかった.MRI所見では, 左側関節円板は前方転位したままで, 開口時においても復位は認められなかった.以上より, 下顎骨の骨格的非対称が認められる成人の顎関節症患者においても, スプリントによる顎位の整位と歯科矯正治療による咬合再構成をはかる治療の有効性が示された.しかし, 病態によっては関節円板の整位は困難であることが示唆された.

顎関節症を伴った成人の骨格性下顎非対称症例の非観血的 1 治験例

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