初期の実験的歯周炎罹患歯の垂直的荷重に対する変位動態

概要

論文の詳細を見る
現在,歯周組織再生療法の一つとしてエムドゲイン^<[O!R]>が臨床応用されるに至り,良好な結果が報告されている。しかしながら,その作用機序や成分についての詳細は明らかにされていない。そこで,本研究では,ヒト歯肉線維芽細胞を用いて,エムドゲイン^<[O!R]>の主剤成分であるenamel matrix derivative(EMD)がfi-bronectin(FN)のextra-domain領域(EDA,EDB)における選択的スプライシングに与える影響について,RT-PCR法と免疫細胞学的方法とを用いて検討を行った。その結果,EDA^+mRNAの発現量は,EMD0,5,25,50,100μg/mlにおいて,濃度依存的に増加した。しかしながら,EDB^+mRNAの発現量には変化が認められなかった。さらに,EMDはtotal FNmRNAの発現量には影響をおよぼさなかった。また,免疫細胞学的観察の結果,FNおよぴEDA^+の局在に関しては,それぞれEMD 0,50,100μg/ml濃度の違いによる変化は認められなかった。以上の結果より,TGF-β1などの成長因子がFNのスプライシングに影響をおよぼすように,EMDがFNのEDA^+のmRNA量の発現を増加させることから,EMDが成長因子様の作用を有する可能性が示唆され,EMDの歯周組繊再生における有用性が示された。
特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
2001-06-28