Ti-Ni 合金ワイヤーを用いた実験的歯の移動 : light continuous force と light dissipating force の比較

概要

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著者らは, 口腔内温度の変化に対して荷重変化の少ない改良・超弾性型Ti-Ni合金ワイヤーを開発し, 優れた臨床効果を報告してきた.今回は, light continuous forceとlight dissipating forceとの歯の移動様相ならびに歯周組織の変化に対する影響を比較検討することを目的とした.そこで, まず, 改良・超弾性型Ti-Ni合金ワイヤー(荷重約5 gf)および, 初期荷重10 gfの加工硬化型Ti-Ni合金ワイヤー(WHW)を用いてラット上顎臼歯を長期間近遠心方向へ移動させる実験系を開発した.次に両ワイヤーによる39日間の実験的歯の移動を行い, 経時的な歯の移動距離計測, および組織学的検討を行った.歯の経時的移動量は, 18日, 変位量約0.8mmまでは両者に差はなかったが, それ以降, 最終計測の39日まで, light continuous forceによる群の方が, 歯の移動が速かった.これは, 共焦点レーザー顕微鏡所見からも確認された.移動初期の組織変化を比較すると, 加工硬化型Ti-Ni合金ワイヤーを用いたlight dissipating forceによる群よりも, 改良・超弾性型Ti-Ni合金ワイヤーを用いたlight continuous forceによる群の方が, 歯根膜の生理的状態を維持している傾向が観察され, この初期の組織変化の違いが, 長期間における歯の移動量の違いに影響しているものと推察された.

Ti-Ni 合金ワイヤーを用いた実験的歯の移動 : light continuous force と light dissipating force の比較

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