慢性期脳卒中後遺症者への理学療法 : 運動療法を中心にして

概要

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慢性期すなわち陳旧例を脳卒中発症後1年以上を経過した後遺症者として論を進める。陳旧例では病的緊張性反射の1つである連合反応による痙性の増強によって, 再獲得された機能の低下が日常の生活の中で起こりがちである。また長期にわたる外来通院の過程で, 加齢による心身両面での機能低下や余病を併発することもあり, 理学療法を継続する上で幾多の障壁が待ちうけている。以上のような問題があるにもかかわらず, 陳旧例成人片麻痺ということばを聞くとき, 療法士はもはや機能的改善は望めずあとは障害の受容のみであると容易に結論づけることはないであろうか。連合反応の悪影響を極力抑え, 加齢による影響へも対応していくことは, 我々理学療法士にとって大きな課題といえる。また欧米のリハビリテーション医療先進国に比べ, 我国の実状はマン・ツー・マン体制での治療の時間と頻度は少なく, 病棟での理学療法士・看護婦・作業療法士による指導の機会も十分とはいえない。この限定された条件の中で, 患者及びその家族に障害の受容を早くから求めていくことは冷酷とも思える。そこで陳旧例脳卒中後遺症者の機能の維持や向上を追求するために, 今日まで治療成績がどのように変遷を遂げてきたかを整理してみる。この中で治療体制の形態や頻度とともに, 大川(1988)が指摘するように, 療法士は患者とその生涯を通じて接せねばならぬ立場であることを強調していきたい。
社団法人日本理学療法士協会の論文
1991-05-10

著者

古澤正道
ボバース記念病院リハビリテーション部

慢性期脳卒中後遺症者への理学療法 : 運動療法を中心にして

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