乳房炎乳腺分泌液に含まれる催炎作用を示すが抗菌活性が低下した小分子ラクトフェリン(内科学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
乳房炎の乳汁(MGS)中の様々な分子量のラクトフェリン(Lf)を解析し, これら分子の乳腺(MG)に対する生理作用を検討した.Lf分子はCon Aアフィニティークロマトグラフィーで分離し, 電気泳動法とN-末端アミノ酸配列から解析した.Con A親和性の低いLf(炎症性Lf)は, 通常, 健康なMGSにあるCon A親和性の高い86kDaのLfに比べ, 低分子であった.低分子LfのN-末端アミノ酸配列は, 86kDaのLfのアミノ酸配列中にある一断片であることが確認できた.炎症性Lfで脾臓付着性細胞を刺激すると86kDaのLfより高いO^-_2を産生した.86kDaのLfで刺激すると, ウシT細胞およびマクロファージからIFN-γ, IL-4, IL-6そしてIL-1αを産生誘導する.しかしながら, 炎症性LfではTNFαは産生誘導するが, T細胞およびマクロファージ由来のサイトカインの産生誘導は確認できなかった.次に, 炎症性Lfを健康乾乳牛にMG内注入すると, 多形核白血球の増加と, TNFαとMCP-1そしてIL-8の産生誘導が増強した.さらに, 炎症性LfはE.coliとS.aureusに対する抗菌作用と, 鉄結合性が86kDaのLfに比べ低下していた.以上の結果から, 乳房炎MGS中に出現した炎症性Lfは, 86kDaのLfが示す生理的特徴と異なっていることと, ウシMGに対し炎症反応を引き起こすことが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2005-07-25
著者
-
黒石 智誠
東北大学大学院歯学研究科口腔分子制御学分野
-
小峯 優美子
(株)インテリジェント・コスモス研究機構
-
小林 仁
宮城大学食産業学部附属農場
-
小原 嘉昭
宮城大学・動物生理科学研究室
-
小峯 優美子
(株)ティーセル研究所
-
小峯 健一
(株)ティーセル研究所
-
黒石 智誠
(株)ティーセル研究所
-
小原 嘉昭
東北大学大学院農学研究科動物生理科学研究室
-
熊谷 勝男
(株)ティーセル研究所
-
小林 仁
宮城県農業短期大学附属農場
-
熊谷 和善
宮崎大学農学部家畜病理学教室
-
小原 嘉昭
東北大 大学院農学研究科
-
小原 嘉昭
東北大学大学院農学研究科
-
小峯 健一
(株)ティーセル研究所:(株)インテリジェント・コスモス研究機構:東北大学大学院歯学研究科口腔生物学講座口腔分子制御学分野
-
小峯 優美子
(株)ティーセル研究所:(株)インテリジェント・コスモス研究機構
-
熊元 一徳
宮崎県都城食肉衛生検査所
-
小林 仁
宮城県農業短期大学付属農場
関連論文
- 乾乳期黄色ブドウ球菌性乳房炎に対するラクトフェリン(Lf)と抗生物質の併用治療効果(内科学)
- 乳汁中に含まれるコンカナバリンA低親和性ラクトフェリンを指標とした乾乳期乳房炎の新診断法(内科学)
- 歯周疾患における唾液中催炎性ラクトフェリンポリペプチドの性状およびその産生機構について
- ブドウ球菌性乳房炎においてエラスターゼにより分解されたウシ・ラクトフェリン(Lf)の炎症効果(内科学)
- β-グルカンおよび海藻添加飼料給与が離乳子豚の発育と免疫能に及ぼす影響
- 迅速 Fluorescence in situ Hybridization 法によるウシ体外受精卵の性判別
- ブドウ球菌性エンテロトキシン-Cおよび毒素性ショック症候群毒素-1の牛乳汁中の濃度と特異抗体価, ならびに乳腺内投与による炎症反応(内科学)
- 乳汁中ブドウ球菌性エンテロトキシン : C濃度の増加に伴い自然発症した乳房炎症例の解析
- ウシ血清IgG_1およびIgG_2の電気泳動的性状と臨床応用
- サイレージ由来乳酸菌のサイレージ添加剤としての有効性の検討
- 移行抗体保有初生ヒナにおける伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)生ワクチンの頚部皮下接種法による防御効果
- 酵素抗体法およびWestern blotting法によるペニシリナーゼの高感度検出法の開発のための基礎的実験(短報)
- 伝染性ファブリキウスのう病ウイルスによる補体の活性化とリンパ系細胞でのウイルス増殖との関連性
- 犬ジステンパー急性感染期におけるリンパ組織のアポトーシス(病理学)
- c-kit発現と多向性分化を示した犬の胃消化管間質腫瘍3例(短報)(病理学)
- 仔ヤギにおけるコレシストキニン(CCK)の分泌調節と機能に関する研究
- シバヤギにおけるコレシストキニンの機能解析
- ヒツジの血中ホルモンおよび代謝産物の日内変動に及ぼす飼料条件の影響
- 乳腺上皮細胞における脂肪酸添加による細胞内TAG蓄積及び脂肪酸受容体に関する研究
- In Vivo および In Vitro 成熟卵子の活性型ミトコンドリアの分布
- 最適なラット卵子の活性化方法の確立
- 発育不良黒毛和種牛の血中成長ホルモンおよびIGF-1濃度(短報)
- Fluorescence in situ hybridizationを応用したウシ体外受精胚の染色体数的異常の検出
- 乳房炎乳腺分泌液に含まれる催炎作用を示すが抗菌活性が低下した小分子ラクトフェリン(内科学)
- 初乳形成に向けた乾乳期乳腺免疫機構の変動とラクトフェリンの関与
- 小特集:家畜栄養生理研究の近年の進歩(4)乳牛
- 乳牛分野における栄養生理研究の近年の進歩
- 哺乳子牛の発育に伴う生理機能の変動に及ぼす加齢と飼養形態の影響
- 海藻,βグルカン,酵母の飼料添加給与が育成豚の発育,免疫能に及ぼす影響
- ヒツジ,ヤギおよびラットの腸管におけるカルシウム吸収に及ぼすマグネシウムの影響
- 時間分解蛍光免疫測定によるニホンジカ血漿プロジェステロン濃度の直接測定法
- ブドウ球菌性エンテロトキシン-C特異抗体は乳房内毒素投与による炎症反応を抑制する
- 乳房炎と乳汁中ヒスタミン濃度に関する検討 (特集 最近の乳房炎診断)
- Venture ブドウ球菌性エンテロトキシンによる粘膜炎症の誘導
- Venture ラクトフェリンとグリチルリチンの乳房炎への応用
- 初乳形成に向けた乾乳期乳腺免疫機構の変動とラクトフェリンの関与
- 乳牛の足根関節周囲炎の臨床病理
- ワンポイント質問 牛の炎症性疾患における急性期蛋白測定の解釈
- 乾乳早期のブドウ球菌性乳房炎に罹患した乳牛におけるウシラクトフェリンの効果
- 乳牛の健康ならびに乳房炎乳房の乳汁中ブドウ球菌とその産生毒素の検出
- 乾乳期乳房炎罹患母牛の初乳形成不全に基づく子牛の感染性下痢症の発症
- 乾乳期乳房炎罹患母牛の初乳形成不全に基づく子牛の感染性下痢症の発症
- 乳牛乳汁中の各種生体防御因子の性状とその周産期に伴う変動
- 乳牛乳汁中の各種生体防御因子の性状とその周産期に伴う変動
- プロスタグランジンF_2αによるニホンジカの発情誘起の試み
- 中山間域草食反芻動物生理生態コア(複合生態フィールド教育研究センター開所記念シンポジウム「単一生態系から複合生態系の生物生産へ」)
- 反芻家畜の栄養生理学研究への安定同位体の利用
- 黒毛和種繁殖牛の代謝性ホルモン分泌に及ぼす圧片トウモロコシの影響
- 粘膜免疫学への思い入れ
- 豚枝肉の細菌汚染の指標としてのリムラステストの応用
- 迅速 FISH 法でウシ胚を性判別するための判定基準
- ウシ受精卵の性判別のための迅速FISH法
- 食肉センターにおけるHACCPシステムによる牛解体処理工程
- 中和された伝染性ファブリキウスのう病ウイルス(IBDV)の各種ニワトリ細胞における感染性(短報)
- 特集に寄せて(総論) (特集 粘膜免疫の特性と制御)
- 牛における悪性中皮腫と卵巣顆粒膜細胞腫の重複例
- 都城食肉衛生検査所における牛腫瘍の調査(1974-1996)
- 牛の悪性大動脈小体腫瘍(短報)
- 反芻家畜におけるACTH分泌特性
- 高速液体クロマトグラフィーによる黄疸ブロイラーのビリルビンおよびビリベルジン分析
- 高速液体クロマトグラフィーによると畜血清中ビリルビン4分画の直接注入分析
- 高速液体クロマトグラフィーによる脾腫を呈した黄疸牛血清のビルビリン分析
- 高速液体クロマトグラフィーによる黄疸獣畜のビリルビンパターン
- 家畜飼養の基礎となる新しいホルモン類:レプチン、グレリン
- 蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法による胚および精子の性判別 (特集 家畜(哺乳類)の雌雄産み分け技術はどこまで進んだか) -- (最近における胚の性判別および精子分別の研究開発の動向)
- ウシにおける生殖細胞の性判別法の開発とその応用
- 鶏における加熱ストレスの補体活性レベルとホルモンレベルへの影響
- 胆汁排泄に及ぼすdehydrocholic acidの影響に関する研究
- 免疫比朧法および免疫比濁法による牛血清中α1-acid glycoproteinの定量
- 繊毛虫 Colpoda aspera に対する次亜塩素酸ナトリウム, ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム, ヨードホール, ホルムアルデヒドおよびグルタールアルデヒドの毒性
- 海藻, βグルカン, 酵母の飼料添加給与が育成豚の発育, 免疫能に及ぼす影響
- 乳汁中ブドウ球菌性エンテロトキシン : C濃度の増加に伴い自然発症した乳房炎症例の解析
- 乳牛乳腺とミルクの免疫学的構成と泌乳サイクルに伴う変動(平成9年度酪農科学シンポジウム講演内容)
- 福島第一原発20km圏内に生息する雌ウシの生殖器に対する放射性物質の影響解析