ブドウ球菌性乳房炎においてエラスターゼにより分解されたウシ・ラクトフェリン(Lf)の炎症効果(内科学)
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概要
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臨床型ブドウ球菌性乳房炎の乳汁中に,エラスターゼ活性とコンカナバリンA(Con A)低親和性のラクトフェリン(Lf)分子が検出された.エラスターゼ活性とCon A低親和性Lfの増加は臨床症状の変化と相関していた.また,エラスターゼ処理したLf(elastase-Lf)は,いくつかの小分子となり,Con A2次元免疫電気泳動においてCon A低親和性Lfと同様の泳動像を示した.我々は,elastase-LfとCon A低親和性Lfに共通する4つのペプチドを確認し,合成ペプチドを作成した.その結果,elastase-Lf,Con A低親和性Lfおよび合成ペプチドのGQRDLLFKDSALによる刺激倍増により,乳腺上皮株化細胞(BMEC)で,nuclear factor kappa B(NFκB)の活性化に基づくIL-6,TNFα,IL-8およびMCP-1の強いmRNAの発現が誘導された.以上の結果から,ブドウ球菌性乳房炎において,Lfがエラスターゼにより分解され,Lfの生理作用が変化することが示唆された.また,これらの結果は,エラスターゼが催炎作用を有するGQRDLLFKDSALのペプチドを含むCon A低親和性Lfの産生を誘導したことが推察された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2006-07-25
著者
-
菅原 俊二
東北大・院・口腔分子制御
-
黒石 智誠
東北大学大学院歯学研究科口腔分子制御学分野
-
菅原 俊二
東北大学大学院歯学研究科口腔分子制御学分野
-
麻生 久
東北大学大学院農学研究科機能形態学研究室
-
小峯 優美子
(株)インテリジェント・コスモス研究機構
-
黒石 智誠
(株)インテリジェント・コスモス研究機構
-
小林 仁
宮城大学食産業学部附属農場
-
麻生 久
宮城大学・農学研究科機能形態学研究室
-
小原 嘉昭
宮城大学・動物生理科学研究室
-
熊谷 勝男
宮城大学・歯学研究科細菌学教室
-
小峯 健一
(株)インテリジェント・コスモス研究機構
-
熊谷 勝男
(株)ティーセル研究所
-
小林 仁
宮城県農業短期大学附属農場
-
熊谷 和善
宮崎大学農学部家畜病理学教室
-
小原 嘉昭
東北大 大学院農学研究科
-
小峯 健一
(株)ティーセル研究所:(株)インテリジェント・コスモス研究機構:東北大学大学院歯学研究科口腔生物学講座口腔分子制御学分野
-
菅原 俊二
東北大学大学院歯学研究科
-
小峯 優美子
(株)ティーセル研究所:(株)インテリジェント・コスモス研究機構
-
熊元 一徳
宮崎県都城食肉衛生検査所
-
小林 仁
宮城大学食産業学部
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