Colpoda inflata の増殖におよぼす培養温度と被食者密度の影響ならびに豚ふん便由来細菌に対する食性
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概要
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豚ふん尿を投入した土壌中で優占化する C.inflata の増殖におよばす投与被食者密度と培養温度の影響, および豚ふん便由来細菌に対する食性を実験的に検討した。10^5〜10^<10>/m1の大腸菌を用いて C.inflata を25℃培養した時の世代時間は, 10^8投与時で最も短かく4.4時間, 10^<10> で最も長く18.8時間であった。また, 原虫1個体の増殖に必要な大腸菌数は10^5および10^6投与時で最も少なく 1.0×10^3, 10^<10> で最も多く1.6×10^5であった。60℃で3O分間加熱した大腸菌を用いた場合, C.inflataは増殖しなかった。培養温度別 (5〜40℃) のC.inflataの世代時間は30℃で最も短かく2.6時間であった。以下, 35, 25, 20, 15℃ (6.2時間) の順で長くなり, 10℃以下および40℃では増殖しなかった。原虫1個体の生産に必要な大腸菌数は培養温度によってほとんど影響されなかった。C.inflataは, 豚ふん由来の8菌種 (11菌株) すべてを捕食したのに対し, 土壌由来の6菌種 (8菌株) のうち, 3菌種 (3菌株) を捕食しなかった。また, 捕食した場合でも世代時間は, ふん便由来細菌を投与した時に短かく (4.2〜6.8時間), 土壌由来細菌を投与した時に長かった (7.0〜11.1時間)。以上の成績は, 豚ふん便由来細菌に対する土壌の浄化作用において, C.inflataが重要な役割を担っている可能性の高いことを示唆するものと考える。
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1984-12-15
著者
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