クロメプロップの生理作用に及ぼすカーバメート殺虫剤の影響

概要

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クロメプロップ [2-(2,4-ジクロロ-3-メチルフェノキシ) プロピオン酸アリニド,CMP] は植物体内で速やかに加水分解されて,2-(2,4-ジクロロ-3-メチルフェノキシ) プロピオン酸 (DMPA) となることを先に報告した。プロパニルなどの分子内アシルアミド結合の酵素的加水分解反応を阻害する作用のあるNAC (1-ナフチルメチルカーバメート) を用いて,CMPの体内代謝が阻害されるかどうか,その時にCMP自身にオーキシンおよび殺草活性が認められるかどうかを確かめた。NAC (10^<-3>M) をCMPと同時かまたは前もって植物に与えると,CMPの殺草活性およびオーキシン活性が著しく減少した。一方,DMPAの場合には特にNACの添加効果は認められなかった (Fig. 2〜5)。NACと与えた場合,CMPの代謝加水分解は妨げられて,CMPの形のまま留まる率が高いことが見出され,一方DMPAの代謝に対してNACは大きな影響を与えないことが判明した (Table 1〜3)。CMP, DMPAの殺草活性に対するNACの影響についても,オーキシン活性と同様の傾向が認められた。CMPは一旦植物体内に浸入し,直ちにDMPAに加水分解されるが,そのDMPAがオーキシンおよび殺草作用を現わす活性化合物であると推定された。
日本雑草学会の論文
1990-07-27