除草剤シメトリンの水稲に対する薬害発生要因について

概要

論文の詳細を見る
水稲の乾田直播栽培の播種前後土壌処理および移植栽培における移植前後土壌処理に適用性が大きいシメトリンについて,薬害発生に関与する要因を究明するために諸実験を行ない,次の知見を得た。発芽時地下部処理では,土壌水分が高いと薬害が大きくなって,選択殺草性が低下し,また,蔦温ほど薬害が大きくなって,適使用量幅が狭くなった。砂壌土では垣壌土よりいく分薬害が大きいが,選択殺草性には大差がなかった。したがって,シメトリンを乾田直播栽培に利用する場合,とくに過湿,高温条件で薬害発生の危険性が増大すると考えられる。幼苗期の湛水下地下部処理では,無漏水条件でも植壌土より砂壌土で薬害が大きく,選択殺草性が小さかった。また,湛水下表面処理では,浅水条件で薬害がやや大きかったが,温度による薬害の変動は比較的小さかつた。したがって,シメトリンを移植栽培に利用する場合,とくに砂質土壌で薬害の危険性が大きいと考えられるが,漏水条件を加えて土壌と薬害との関係をさらに検討する必要がある。
日本雑草学会の論文
1969-08-30