イボクサ(Murdannia keisak (Hassk.) Hand.-Mazz.)の発芽特性と除草剤に対する感受性
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概要
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イボクサの防除対策を明らかにするために, 茨城大学農学部附属農場において集団採取した種子を用いて, 発芽特性と除草剤に対する感受性を検討した。風乾貯蔵したイボクサ種子は休眠性を有していたが, 休眠は濃硫酸による種皮の物理的損傷や20日間程度の5℃低温・湛水条件下で貯蔵することにより覚醒することが明らかとなった。また, 休眠覚醒した種子が50%発芽するのに必要な日数は10℃暗黒条件下で約6日であった。屋外では平均気温8℃前後で発生が始まった。屋外で休眠が覚醒したと考えられる3月末頃に湛水した場合には, 一部で発生が認められるもののすみやかに休眠に入った。一方, 畑地条件では3月末から5月中旬まで発生を続け, 以降は休眠に入った。イボクサの発芽特性からみると, イボクサは本田においては, 代かき作業前に多く発生し, 耕転・代かきなどの作業を行った後にも生き延びた個体と僅かであるがその後に発生する個体が存在しているものと考えられた。したがって, 水稲の移植栽培では丁寧な代かきにより防除できる可能性があるが, 水稲の不耕起栽培においては防除の困難な雑草となることが考えられた。除草剤に対する感受性は, チオールカーバメート系除草剤やアセトアニライド系除草剤およびペンタゾン・MCP混合剤で高かった。したがって, チオールカーバメート系除草剤やアセトアニライド系除草剤を初期に散布するか, これらの混合剤を初中期に散布する除草体系が有効であり, さらに残存した場合には生育期のペンタゾン・MCPによる体系防除が有効であると考えられた。
- 日本雑草学会の論文
- 1997-01-31
著者
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